【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音③ 半音と全音の移動】
目次
1、音痴とは…?
・音痴とは、正しい音の高さや正確な音程で歌えないこと、本来歌われるべき音の高さで正確に歌えない状態のことを指しています。
2、音痴の原因
・音痴の原因は、音の高さを聞き分ける能力や音の高さや音程を正確に発声する力が不足しているためです。
3、音痴を改善する方法
・音痴を改善するには、音の高さを聞き分ける能力と音の高さや音程を正確に発声する力を鍛えましょう。
②音の高さや音程を正確に発声する力
・練習を繰り返す(積み重ねる)ことで、以下のような効果が期待できます。
❶音の高さをイメージする力や音の高さを調節する力が付くと、自然と音の高さが合うようになったり、合わせやすくなったりします。
❷音と音との距離感(音程)がイメージできようになると、歌いながら次の音を予測することができるようになります。そして、実際に音程のとり方が分かるようになると、今まで外していたり、取りづらかったりした音程が短時間でとれるようになります。
❸さらに、正確に音程をとる力がつくと、難しい音程でも気持ち良く音をとって歌えるようになります。
音の高さを聞き分ける能力をチェック!
A. 音の高さを聞き分ける能力を養う練習
・基準となる音や音程を聞き、その音と同じ高さや音程で声を出そうとした時に、自分が出している声の高さが基準となる音や音程と同じ高さや音程で出せているのか、または、出せていないのかが分からない場合には、【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)音感を養う1 音の高低を聴き分ける】で音の高さを聞き分ける練習、同じ高さで音が出ていることを感じる練習などに取り組み、【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)音感を養う1-2 音の高低を出し分ける】で同じ高さの音を出す練習、メロディをドレミファソラシで歌う練習などに取り組み、音の高さを聞き分ける能力を養いましょう。
B. 音の高さや音程を正確に発声する力を鍛える練習
・基準となる音や音程を聞き、その音と同じ高さや音程で声を出そうとした時に、自分が出している声の高さが基準となる音や音程と同じ高さや音程で出せているのか、出せていないのかがはっきりと分かる場合、または、音の高さを聞き分ける能力を養い、それらがはっきりと分かるようになったら、音の高さや音程を正確に発声する力を鍛える練習に取り組みましょう。
♣ 練習のための準備
録音・録画
・普段、私たちは空気を伝わる音と骨を伝わる音がまじったものを自分の声として聞いていますが、録音して聞く声には骨を伝わる音が含まれていないため、録音した自分の声を聞くとまるで別人のように感じるものです。これは、空気と骨では音の伝わり方(通りやすさ)が異なり、骨のほうが低い周波数を響かせるためです。この2つの音が完全に一致することはありませんが、録音した声を聞くと自分では気付かない点を知ることができるため、練習するときは自分の声を録音したり、歌っている姿を動画で撮影したりして毎回確かめてみるとよいでしょう。
ピアノで音を確かめる
・自分の歌った音の高さや音程が正しかったのか、また、どの音がどれだけ低かったのか、高かったのかをピアノやキーボードなどを使ってしっかりと確かめながら、正しい音の高さや音程を覚えましょう。
♦予備知識①
音の高さとは…?
・音の高さは『音高』ともいい、英語で『ピッチ(pitch)』といいます。その音だけにつけられた変化しない名前の「音名」や、音階の中で基調(キー)の音からから何番目の音なのかによって、調(キー)が変わると同じように呼び方が変わる「階名」や、1秒間に空気が何回振動するかの「周波数(単位はヘルツ/Hz)」などで表されます。
フラットしている?/ピッチが低いとは…?
・本来の音の高さよりやや低い(低く出た)状態のことを指して「フラットしている」や「ピッチが低い」と表現することがあります。一つの音のことを指して言う場合も、部分的に指して言う場合も、全体的に指して言う場合もあります。
シャープしているとは…?
・本来の音の高さよりやや高い(高く出た)状態のことを指して「シャープしている」と表現することがあります。一つの音のことを指して言う場合も、部分的に指して言う場合も、全体的に指して言う場合もあります。
◇予備知識②
・半音については【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音】、全音については【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)全音】で確認してみましょう。
4、半音と全音の練習
・ある音から半音、または全音上の音に上がったり、下の音に下がったりする練習をして半音と全音をしっかり覚えましょう。
♥半音と全音の移動練習
・ある音から半音(1個)、または全音(1個)上の音に移動したり、下の音に移動したりする練習をしてみましょう。
♡「半音と全音の移動練習」のルール
「半音1個」と「全音1個」の組み合わせ
・ある音から半音(1個)、または全音(1個)上の音に移動したり、下の音に移動したりする「半音1個」と「全音1個」のいろいろな組み合わせで歌います。
1. 音の種類は3つ
【例】○「シ ド レ」「シ ド レ ド」(シ,ド,レの3種),「ミ ファ ソ ファ ミ」(ミ,ファ,ソの3種)など。×「ラ シ ド レ」(ラ,シ,ド,レの4種),「シ ド シ ラ ソ」(シ,ド,ラ,ソの4種)、「ド レ ミ ファ ソ」(ド,レ,ミ,ファ,ソの5種)など。
2. 一連の音のかたちの合計は3~5音
【例】○「シ ド レ」(合計3音)、「シ ド レ ド」(合計4音)、「シ ド レ ド シ」(合計5音)など。×「シ ド」,「ド レ」(合計2音)、「シ ド レ ド シ ド」(合計6音)など。
3. 同じ音を連続させない
【例】○「シ ド レ ド」、「シ ド レ ド シ」など。×「シ シ ド レ」(シの音が連続)、「シ ド レ レ ド」(レの音が連続)、「シ ド レ ド ド」(ドの音が連続)など。
4. 同じ音は3回まで
【例】○「ド シ ラ」(ド,シ,ラ各音1回)、「ド シ ラ シ」(シの音が2回)、「ド レ ド シ ド」(ドの音が3回)など。
5. その他
※自分の目的などに合わせて、同じ音を連続したり、合計の音の数を増やしたりするなど、自分なりにアレンジして練習しても構いません。
備考
*【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音① パターン1~4】と【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音② パターン5~8】の音のかたちも含まれています。
I. 半音上の音に移動
・まず、自分が出しやすい高さの音を1音目の音(「シ」や「ミ」の音)として、そこから半音上の音へと移動させていきましょう。歌う言葉は、音の名前、母音、子音、ハミングなどの中から、音程が取りやすく、声が出しやすい言葉を使って歌いましょう。慣れてきたら、1音目の音の高さを変えてみたり、言葉の組み合わせを変えてみたり、ゆっくり、または、素早く歌うなど、歌う速さを変えてみたりしながら練習してみましょう。
①半音上–全音上
「シ ド レ」or「ミ ファ ソ」
②半音上–全音上–全音下
「シ ド レ ド」or「ミ ファ ソ ファ」
③半音上–全音上–全音下–半音下
「シ ド レ ド シ」or「ミ ファ ソ ファ ミ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音② パターン5~8】の『パターン5』でも紹介しています。
④半音上–全音上–全音下–全音上
「シ ド レ ド レ」or「ミ ファ ソ ファ ソ」
⑤半音上–半音下–全音下
「シ ド シ ラ」or「ミ ファ ミ レ」
⑥半音上–半音下–全音下–全音上
「シ ド シ ラ シ」or「ミ ファ ミ レ ミ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音① パターン1~4】の『パターン1』でも紹介しています。
⑦半音上–半音下–半音上–全音上
「シ ド シ ド レ」or「ミ ファ ミ ファ ソ」
J. 全音下の音に移動
・まず、自分が出しやすい高さの音を1音目の音(「レ」や「ソ」、「シ」や「ミ」の音)として、そこから次の音へと移動させていきましょう。歌う言葉は、音の名前、母音、子音、ハミングなどの中から、音程が取りやすく、声が出しやすい言葉を使って歌いましょう。慣れてきたら、1音目の音の高さを変えてみたり、言葉の組み合わせを変えてみたり、ゆっくり、または、素早く歌うなど、歌う速さを変えてみたりしながら練習してみましょう。
①全音下–半音下
「レ ド シ」or「ソ ファ ミ」
②全音下–半音下–半音上
「レ ド シ ド」or「ソ ファ ミ ファ」
③全音下–半音下–半音上–全音上
「レ ド シ ド レ」or「ソ ファ ミ ファ ソ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音② パターン5~8】の『パターン8』でも紹介しています。
④全音下–半音下–半音上–半音下
「レ ド シ ド シ」or「ソ ファ ミ ファ ミ」
⑤全音下–全音上–全音下–半音下
「レ ド レ ド シ」or「ソ ファ ソ ファ ミ」
⑥全音下–全音上–半音上
「シ ラ シ ド」or「ミ レ ミ ファ」
⑦全音下–全音上–半音上–半音下
「シ ラ シ ド シ」or「ミ レ ミ ファ ミ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音① パターン1~4】の『パターン2』でも紹介しています。
K. 半音下の音に移動
・まず、自分が出しやすい高さの音を1音目の音(「ド」や「ファ」の音)として、そこから次の音へと移動させていきましょう。歌う言葉は、音の名前、母音、子音、ハミングなどの中から、音程が取りやすく、声が出しやすい言葉を使って歌いましょう。慣れてきたら、1音目の音の高さを変えてみたり、言葉の組み合わせを変えてみたり、ゆっくり、または、素早く歌うなど、歌う速さを変えてみたりしながら練習してみましょう。
①半音下–全音下
「ド シ ラ」or「ファ ミ レ」
②半音下–全音下–全音上
「ド シ ラ シ」or「ファ ミ レ ミ」
③半音下–全音下–全音上–半音上
「ド シ ラ シ ド」or「ファ ミ レ ミ ファ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音② パターン5~8】の『パターン6』でも紹介しています。
④半音下–全音下-全音上–全音下
「ド シ ラ シ ラ」or「ファ ミ レ ミ レ」
⑤半音下–半音上–全音上
「ド シ ド レ」or「ファ ミ ファ ソ」
⑥半音下–半音上–全音上–全音下
「ド シ ド レ ド」or「ファ ミ ファ ソ ファ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音① パターン1~4】の『パターン4』でも紹介しています。
⑦半音下–半音上–半音下–全音下
「ド シ ド シ ラ」or「ファ ミ ファ ミ レ」
L. 全音上の音に移動
・まず、自分が出しやすい高さの音を1音目の音(「ラ」や「レ」、「ド」や「ファ」の音)として、そこから次の音へと移動させていきましょう。歌う言葉は、音の名前、母音、子音、ハミングなどの中から、音程が取りやすく、声が出しやすい言葉を使って歌いましょう。慣れてきたら、1音目の音の高さを変えてみたり、言葉の組み合わせを変えてみたり、ゆっくり、または、素早く歌うなど、歌う速さを変えてみたりしながら練習してみましょう。
①全音上–半音上
「ラ シ ド」or「レ ミ ファ」
②全音上–半音上–半音下
「ラ シ ド シ」or「レ ミ ファ ミ」
③全音上–半音上–半音下–全音下
「ラ シ ド シ ラ」or「レ ミ ファ ミ レ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音② パターン5~8】の『パターン7』でも紹介しています。
④全音上–半音上–半音下–半音上
「ラ シ ド シ ド」or「レ ミ ファ ミ ファ」
⑤全音上–全音下–全音上–半音上
「ラ シ ラ シ ド」or「レ ミ レ ミ ファ」
⑥全音上–全音下–半音下
「ド レ ド シ」or「ファ ソ ファ ミ」
⑦全音上–全音下–半音下–半音上
「ド レ ド シ ド」or「ファ ソ ファ ミ ファ」
*こちらのパターンについては【音痴を改善するボイストレーニング(ボイトレ)半音と全音① パターン1~4】の『パターン3』でも紹介しています。
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