フォールとは?
1. フォールとは…?
意味
・フォールとは、本来の音を出してから低い音へ向かって音を滑り落とすようにして下げる歌唱テクニックのことです。
記号
・カラオケでは下に向かってカーブするようなマークが付きます。
1-1 フォールの効果
人をひきつける
・フォールすることによってその部分を際立たせて聴き手の注目を引くための効果を高めることができます。印象を強め、人の心をひきつけたり、他と異なる雰囲気を引き立たせたり、個性的な歌唱にしたり、癖のある歌い方にしたりすることができます。
心地よくさせる
・張りつめていた気持ちをゆるませたり、遠ざかっていくような感じを表現したり、余韻を持たせたり、リズムに乗って歌ったりすることができます。
感情表現
・切なさや寂しさ、そして思いの強さなどを表現することができます。
フォールの回数
・歌い方や回数によっては聴き手に与える印象が変わります。歌い方や回数が多すぎたりすることであまり好ましくない印象を与えてしまったり、音の高さが安定して歌えていないという印象を与えてしまったりする可能性もあるので、逆効果にならないように注意しましょう。
1-2 フォールを歌の中で使う場所・入れやすい曲
切なさや思いの強さを表現したい
・切なさや寂しさ、思いの強さを表現したいとき。
・音の終わり。ロングトーンの終わり。ひと息で歌うメロディの最後の部分。
・もとの音符の長さが長かったり、次の発声まで少しまたは長い時間空いていたりする方が入れやすいことが多いです。
1-3 出し方
・大げさに表現するつもりで出してみましょう。
もとの音から下げる
・もとの音を出してから音を下げましょう。
なめらかに下げる
・上から下へなめらかに音を下げましょう。
切れ目なく続けて下げる
・声が途中で切れないように音を出し続けている状態で下げましょう。その時、全音または半音など音階を1音ずつ下げていくのではなく、切れ目なく続けて音を下げましょう。
手を下げる動きでフォールを表現する
・音の高さに合わせて手で音の下がりを描くようにします。手の動きで音の高さの変化を表しながら、音の下がりを感じ取って歌いましょう。
1-4 いろいろな呼ばれ方
・英語で『落ちる』『落下』を意味する『fall』という言葉が使われ、フォール(fall)と呼ばれています。フォール・ダウン、フォール・オフ、ドロップなどと呼ばれることもあります。
・音を下げるという点は同じでも、音を下げる速度、音を下げ始めてから下げ終えるまでの時間、フォールの長さ、もとの音符の長さ、次の音までをつないで歌う(フォールと似ているテクニックと区別する)、そしてフォールと他のテクニックを組み合わせて使うなどといった点の違いに応じて、呼び方を使い分けている場合もあります。
2. フォールの度合い
・下げ方や組み合わせで歌の印象が変わります。曲や歌詞がもつ雰囲気や状況設定に合わせた表現を目指しましょう。
2-1 音を下げる速度
・下げる速度や強さによって伝わり方が変わります。下げる速度は、ゆっくりから速くまでさまざまです。また、下げている途中で速度を変化させることもできます。変化に乏しく、一本調子な表現ではなく、速さや強さの異なる表現を目指しましょう。
ゆっくり下げる
・下げる速度が遅いフォールです。ゆっくり音を下げましょう。
素早く下げる
・下げる速度が速いフォールです。素早く音を下げましょう。
急激に下げる
・激しさや強さを表現するつもりで、急激に音を下げましょう。
一定の速さで下げる
・一定の速さで音を下げてみましょう。
下げている途中で速度を変化させる
・音を下げている途中で下げる速さを変化させましょう。
2-2 もとの音符の長さ
長い音符
・もとの音符の長さが長い方が入れやすいことが多いです。
短い音符にフォールを入れる
・細かく、複雑な音の高さの変化をつけて表現することで聴き手に与える印象が変わります。
2-3 フォールの長さ
・フォールの長さは、短いから長いまでさまざまです。
長めに下げる
・長いフォールです。長めに音を下げましょう。
短めに下げる
・短いフォールです。音を短めに素早く下げましょう。
2-4 音を下げ終えるまでの時間
・音を下げ始めてから下げ終えるまでの時間は、短いから長いまでさまざまです。
2-5 力の入れ具合
・力の入れ具合を変化させてみましょう。
ため息をつくようにして下げる
・音を下げるとき、ため息をつくようにして下げてみましょう。
力強く下げる
・力がこもっていて頼もしく感じられるさまを表現するつもりで、力強く音を下げましょう。
言葉を強めに出してから下げる
・子音のはじめの部分の音や母音を強めに音を出してから、フォールしましょう。
声を揺らさない
・音を下げたとき、声を揺らさないようにします。
2-6 音を下げ始めるタイミング
・例えば、音全体の長さを10として、下げ始めるポイントを前半(1~3)、中ほど(4~6)、後半(7~9)に分けて、下げ始めるポイントを早めたり遅らせたり、いろいろと試してみましょう。
前半部分(1~3)
・音全体にフォールをかけるようなつもりで、またはすぐに音を下げる感じで歌いましょう。
中ほど(4~6)
・音の後ろ半分にフォールをかけるようなつもりで音を下げましょう。
後半部分(7~9)
・音が終わる直前で音を下げましょう。
2-7 到達音・深さ
・到達音とは、下げ終えた音のことです。そしてもとの音から下げ終えた音までの距離が深さです。もとの音からどのくらい音を下げるのかは決まっていませんが、下げ終えた音の高さや深さによって伝わり方が変わります。曲や歌詞がもつ雰囲気や状況設定に合わせて、いろいろと試してみましょう。
到達音の目安
・少し下から自分が出せる一番低い高さまで。
・半音くらい下から全音くらい下、3度くらい下、5度くらい下、1オクターブくらい下、1オクターブ以上下まで。
3. フォールした後
3-1 フォールで歌い終える
・フォールして、一旦または曲を歌い終えます。
音を止める
・音を下げ終えたら、声を揺らさないように止めます。
消えていく感じで声を小さくする
・到達音に向かって声を小さくしていき、最後は消すようにします。
3-2 息継ぎをして次の音を歌いだす
・音を下げ終えたら、息継ぎをして次の音を歌いだします。
3-3 フォールと次の音とのあいだに間を入れる
・音を下げ終えたら、次の音を歌いだすまでのあいだに、間を入れます。間を入れるとき、息を吸い込まないように注意します。
3-4 フォールと次の音を切れ目なく続けて歌う
・フォールと次の音をつないで歌います(フォールと同じような特徴が含まれる範囲として)。下げ終えた音が次の音の高さよりも高かったり低かったりすると、細かく、複雑な音の高さの変化になります。
3-5 フォールを繰り返す
・2音、3音とフォールを繰り返して行ってみましょう。
4. フォールと他のテクニックを組み合わせて使う
・フォールと他のテクニックを組み合わせることで(フォールと同じような特徴が含まれる範囲として)、細かく、複雑な音の変化をつけて表現することができ、表現の幅を広げることができます。フォールしながら、声の大きさ、高さ、音色を変化させてみましょう。3つ以上組み合わせることもできます。
4-1 フォールするしないを使い分ける
・同じ音でフォールを入れた場合と入れない場合を比べ、2つの違いを感じ取って歌いましょう。
4-2 「フォール」+「音量を変える」
・フォールしながら声の大きさを変化させます。
音を下げながら小さくする
・消えていく感じでフォールしながら声を小さくしていきます。
音を下げながら大きくする
・気持ちがたかまる感じでフォールしながら声を大きくしていきます。
4-3 「フォール」+「息を吐き出す音を加える」
・フォールしてから、最後に息を吐き出す音を加えます。
4-4 「フォール」+「ボーカルフライ」
・地声や裏声、息もれ声でフォールしてから、音を下げている途中または最後でボーカルフライに変化させます。
4-5 「フォール」+「ボーカルフライ」+「息を吐き出す音を加える」
・地声や裏声、息もれ声でフォールしてから、音を下げている途中または下げ終えるあたりでボーカルフライに変化させ、最後に息を吐き出す音を加えます。
4-6 「フォール」+「声の音色を変える」
・やわらかい声、かたい声、抜いた声、張った声、弱々しい声、力強い声、明るい声、暗い声、浅い声、深みのある声など、いろいろな音色の声でフォールしてみましょう。
・音を下げている途中で声の音色を変化させます。やわらかい声、かたい声、抜いた声、張った声、弱々しい声、力強い声、明るい声、暗い声、浅い声、深みのある声など、いろいろな組み合わせで行ってみましょう。
4-7 「フォール」+「母音を移しかえる」
・音を下げている途中で異なる母音に変化させます。
4-8「フォール」+「音を震わせる」
・音を震わせながらフォールします。
4-9「フォール」+「音の終わりで音を高くする」
・フォールしてから、最後に音を高くします。
4-10「フォール」+「音の終わりで音を高くする」+「息を吐き出す音を加える」
・フォールしてから、音を下げ終えるあたりで音を高くし、最後に息を吐き出す音を加えます。
4-11「音を高くする」+「フォール」
・本来の音を出した後、音を高くしてからフォールします。
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