MAXさんの「文科系ミュージシャン、体育会系ミュージシャン」
金山校のマックスです。
文武両道というのが世の中理想とされていますが、天が与えたもうた人の個性は様々で、なかなかそう簡単には行かないものですよね。
大概は文科系か体育会系どちらかかカテゴライズされ、偏る事になると思うのですが、ミュージシャンという生き物も大きく分けるとこのどちらかに分かれるようです。
「文化系ミュージシャン」の特長は、創作活動における発想力・着想力にとても秀でていることです。
普通では考えが及ばないようなオシャレなコード進行をさらりと取り入れて曲を作ったり、斬新な切り口の詞を書いたり。聴く音楽の趣味もとてもマニアック。
ある意味アーティストとしてとても優れている、というところでしょうか。
その反面、一旦出来上がってしまった作品に対しては意外なほど無頓着だったりします。
このタイプの人にとって一番楽しい事は「発想すること」そのものなので、
例えばそうして出来上がった素晴らしい曲を、何度も練習してさらに磨きをかける、あるいは継続的なライブ活動を頑張る、といったことについてはあまり興味がわかないのです。
それに対して「体育会系ミュージシャン」は真逆の性質を持っています。
このタイプの人はお客さんに届いた結果がすべて、という考えが基本です。
なので、こだわりのベクトルはアレンジや演奏がキチンと一定のクオリティに達しているか、ライブ全体の内容はどうか、という方向に行きます。
反対に創作力に比較的乏しく、既存のヒット作品のアイデアをなかなか越えられない部分もあります。どちらかと言うとアーティストというよりも職人。
音楽を作っていく上で、大切なのは両方のカテゴリーの人間が手を携えて頑張るという事なのだと思います。
メンバーが文科系だけでもダメ。体育会系だけでもダメ。
僕はどちらかというとこのカテゴライズの仕方だと体育会系になります。
文科系で身近な人を挙げると、ギターの戸城センセ。
10年以上も前、僕らは一緒にバンドをやっていました。その頃の話。
バンドのライブにあたって、フライヤー(チラシ)を作る事になりました。
戸城センセがパソコンを駆使して、印刷屋さんにも回して、それはそれはオシャレなフライヤーが仕上がりました。
デザイン、レイアウトとも文句の付けようのない素晴らしい仕上がりでした。
ただ一点、書いてある時間が間違っていたことを除いて。
僕らがそれを指摘すると、彼は本筋はそこではないとでもいう風に「あー、まー、いいんじゃないですか」と。
待て待て、フライヤーの目的はそもそも何だ?ライブについての情報を正式に、正確に伝える事ではないのか?
戸城センセを今さら責めている訳では無いのです。データの時点でチェックしなかった僕等残りのメンバーも悪いのは事実。
僕にとって新鮮だったのは、彼にとってはそういった情報の正確さよりも、フライヤー全体を貫くデザインセンスの方が大事だと考えて普段から生活しているであろうことでした。
僕の発想では絶対に出てこない思考。変かも知れませんが、彼を尊敬した瞬間でした。
とは言うものの。さすがに感心してばかりもいられないので、間違った部分は手分けして二重線で消して書き直したという顛末。
文科系のセンスを大事にしつつ、体育会系が締めるとこを締めて、バンド活動に励んでいただきたいものです。